俳優の吉田栄作さん=大阪市北区、滝沢美穂子撮影
「自分にとって最後の『ローマの休日』かな」。取材の冒頭、本気とも冗談ともつかない言葉が飛び出した。
2010年、12年と上演された作品の再演。同じ役を3回も演じるのは初めて。それが名作映画の舞台版なのだから、つくづく華のある人だ。
脚本・演出のマキノノゾミによって、大胆にも3人芝居に姿を変えた。アメリカ人新聞記者ジョー役の吉田をはじめ、アン王女に朝海ひかる、ジョーの友人アーヴィングは小倉久寛と、初演時のキャストが集う。
最初にこの舞台に取り組んだとき、あまりにも有名で広く愛される映画を芝居にすることに戸惑った。しかし、稽古初日にマキノが披露した作り話で踏み出せた。
実は……、映画ができる前に「ローマの休日」の3人芝居がオフブロードウェーで上演されていた。それを見た関係者が映画を制作した。
「『我々がやるのは、そのオフブロードウェー作品の日本人版』。そう思い込むことで、すごく救われた。あそこからもう演出が始まってたんだなって、いまも3人で言ってます」
舞台版のジョーには、「赤狩り…