販売されるマンホールのふたを見に来た愛好家ら=前橋市六供町の市水質浄化センター
マンホールのふたに熱い視線が注がれている。前橋市が不用となったマンホールのふたを1枚3千円で売り出したところ、購入の申し込みが殺到しているという。愛好家らの間でも話題となり、先月29日には現物が公開され、購入希望者が続々と現れた。
売却されるのは直径約60センチ、重さ約40キロの鋳鉄製のふた10枚。ほとんどが1983年~2012年製だが、なかには1970年代以前とみられる製造年不明のものもある。デザインは3種類で市の花のバラや市章などがあしらわれ、実際に下水道に使われていた。
市はこれまで、不用となったふたはリサイクル業者に売却するなどして処分していた。だが、昨年4月から、一部の自治体がご当地マンホールを紹介する「マンホールカード」を作り始めたところ、人気が沸騰。前橋市も12月に作成し、2千枚を配布した。
こうしたマンホール人気に市の担当者が着目し、下水道のPRに役立てようと、ふたを一般に売り出すことを決めた。同市六供町の市水質浄化センターで8月29日、現物を展示すると、県外からも見に来る人がいて、購入希望者が予想以上にいたという。
東京都から来たシステムエンジニアの白浜公平さん(40)と飲食店長の竹内正則さん(45)は、各地を歩いてマンホールのふたのデザインを確かめ、定期的にイベントを主催するほどの愛好家。2人が今回、とくに注目したのは製造年不明のもの。「鋳物の種類や全体的な雰囲気が、群を抜いて他と違う」と解説する。
2人はマンホールの魅力について、「ご当地ならではのデザインや、市町村合併で今ではなかなか見られない希少価値のあるものもある」「文字やデザインから、製作された時代や背景が見えてくる」「歴史的な産業遺産となりうるのに、鉄くずにされるのはもったいない」などと話す。
市によると、購入の申し込みは、すでに100人以上にのぼっているという。市水道局下水道整備課の八木秀樹課長補佐は「これほど反響があるとは思わなかった」と驚いている。
申し込みの期限は7日までで、…