今春リニューアルした東京プリンスホテル。周囲には高層ビルが立ち並ぶ(同ホテル提供)
2020年の東京五輪開幕まであと3年を切った。多くの訪日外国人が見込まれるなか、東京の街では「おもてなし」の準備が進んでいる。
1964年9月1日。東京五輪を1カ月後に控えたこの日、東京を代表する二つのホテルが開業した。東京プリンスホテル(東京都港区)とホテルニューオータニ(同千代田区)。半世紀前、多くの外国人客をもてなしたホテルはいま、2度目の五輪に向けた準備が進む。
1年間の休業をはさみ、今年4月にリニューアルオープンした東京プリンス。約48億円かけて462室の全ての客室とロビー、レストランを改修。耐震補強工事もした。3年後に向け、増加する外国人観光客を意識し、目の前に東京タワーを見上げるテラス席を新たに作った。
村田精利(きよとし)さん(72)はホテルで唯一、開業時を知るホテルマンだ。福島の高校を卒業後に上京、63年に就職した。シティーホテルの利用者の多くは外国人だった。海外の航空会社のクルーや海外選手団の関係者らで連日満室だった。ドアマンだった村田さんは、仕事に忙しく、五輪を楽しむ余裕はなかった。
その後、海外のホテル勤務などを経て、今はナイトマネジャーとして若いスタッフの育成にも力を注ぐ。「五輪は初めて日本を訪れるゲストに日本を知ってもらういい機会。高い品質のサービスでお迎えしたい」との思いを伝えている。
ニューオータニも外国人観光客向けのサービスを強化する。五輪を見据え、外国人向けのコンシェルジュスタッフを3倍の12人に増加した。
53年前の開業時、「世界初」のユニットバスと並んで同ホテルの施設で話題になったのは「回転レストラン」だ。東京を一望できる最上階の17階にあり、70分で一周する。海外からの客にどの席に座っていても富士山が見えるようにと考えた「おもてなし」だった。ホテルが約10年前に実施した大規模改修では、回転レストランの窓をより大きくした。「53年前に比べ、スカイツリーや都心のビル群など、東京の夜景はきらびやかになった。最新の東京を楽しんでほしい」
62年開業のホテルオークラ東…