学校法人森友学園による大阪府の補助金詐取事件で、大阪地検特捜部は前理事長の籠池泰典容疑者(64)を勾留期限の11日に起訴する。一方、同学園に国有地を大幅に値引きして売却した財務省職員らの背任容疑については同日に結論を出さず、捜査を継続することが捜査関係者への取材でわかった。一定の時間をかけ関係者の聴取などを本格化させるとみられる。
特集:森友学園問題
特捜部は7月末、小学校の建設費への国の補助金を詐取した容疑で籠池容疑者夫妻を逮捕、8月21日に府の補助金の詐欺容疑などで再逮捕した。11日に籠池容疑者を詐欺罪などで起訴し、補助金不正についての捜査は節目を迎える。
一方、学園をめぐる一連の疑惑の本筋である国有地売却の経緯について、特捜部は、近畿財務局職員らに対する背任容疑の告発2件を受理している。これまでに、売買交渉を担った近畿財務局職員や、地中ごみの撤去費(値引き額)を8億1900万円と算出した国土交通省大阪航空局職員のほか、積算資料を国に提出した業者らからも事情を聴いた。今後、籠池容疑者にも国側との売買交渉などについて尋ねる。
背任罪の立証には、多額の値引きで国に損害を与えただけでなく、国に損害を与える目的があったことの立証も必要とされる。仮に不起訴処分とする場合も、告発者らが検察審査会に不服を申し立てることが予想され、捜査の経過が検証されることになる。そのため立件の適否の判断に一定の時間をかけ、関係者聴取や証拠の分析を慎重に進める方針とみられる。