デイブ・グロール=東京・六本木、品田裕美撮影
暗雲漂う世界にかすかに光る希望と未来――。米国を代表するロックバンド、フー・ファイターズが今月発表した最新アルバム「コンクリート・アンド・ゴールド」は、変容する米国社会に生きる人々の感情をあぶり出したような作品だ。ボーカルのデイブ・グロールとベースのネイト・メンデルに新作への思いを聞いた。
メロディーや歌詞の至る所から浮き出るダークなトーン。「♪スーパースターはいないんだよ」と嘆きに近い歌も収録されている。オルタナティブロック特有のノイズまみれのサウンドと相まって、鬼気迫る迫力を醸し出す。
デイブは、昨年「田舎に借りた家にこもって」1週間歌詞作りに専念した。ただ時はまさに大統領選まっただ中。「トランプ氏が共和党の候補に選ばれていた。米国人として、世界の人にとって、大変混乱していた時期に書いたものばかりだ」。米国のエンタメ界でも、新大統領に伴う社会の分断は避けて通れないが、バンドも同じだ。
「私は3人の子を持つ父親。彼らが大人になった時、環境や経済、国際問題などでいつか後始末をしなければいけない。今、政治的にすごく悲しいことが起きている」
ただ、アルバム最後の表題曲では「俺には黄金でできたエンジンがある(中略)/その根は思っているよりずっと強くて/コンクリートを突き破って伸びていくんだ」と力強く歌う。
「今の状況に心が折れそうにもなる。でも、こんな時代だけど、希望的なメッセージを示したかった」。これまで「政治的な曲を書いたことはない」と話すが、「僕らは反体制的なパンクロックを聴いて育ってきた。抗議の意思を表したりすることが大事だとは思っている」とも語る。
プロデューサーに、アデルなど…