チャイルドファーストジャパンが運営し、司法面接などを行う「子どもの権利擁護センター」。待合室にはぬいぐるみなどが置かれている=神奈川県伊勢原市
子どもへの性暴力は学校や家庭など身近な場所で起きていて、決してひとごとではありません。被害に遭った子どもをさらに傷つけずに事実を確認し、支える取り組みが徐々に広がっています。
■専門家「氷山の一角」
厚生労働省によると、2016年度に児童相談所が対応した性的虐待は1622件(速報値)で10年前の約1・4倍。警察庁の統計では16年、強姦(ごうかん)や強制わいせつなど18歳未満への性的虐待で保護者らを摘発した例が162件。加害者は養父・継父67人、実父42人など。今年7月施行の改正刑法では性犯罪が厳罰化され、親による家庭内の性暴力などを想定した処罰規定が新設された。
文部科学省によると、わいせつ行為やセクハラで懲戒処分を受けた教員は15年度に195人、訓告などを合わせ224人。うち、自校の児童・生徒が相手だった例が91人。場面別では放課後が22人、部活動が12人、授業中が13人だった。
16年には関東地方の中学校で、修学旅行中に男子生徒2人にキスをした男性教諭が懲戒免職に。九州地方の小学校では男性教諭が誰もいない教室に女子児童を呼び出し、下半身を触る事件が起きた。児童は怖くて被害を訴えられずにいたが保護者が気付き、警察に届け出たという。
しかし、表面化する被害は氷山の一角だ。
子どもの性暴力被害に詳しい大阪大大学院の野坂祐子(さちこ)准教授は、「誰にでも起こり得ると知ってほしい」と話す。子どもを守るには、大人とは異なる発達上の特性を理解する必要がある、と指摘する。
子どもは体を触られると、違和感を抱きながらもスキンシップとして心地よさを感じることがある。人を信じやすい面もあり、こうした傾向を加害者は利用する。見知らぬ人であっても、やさしい口調で遊びに誘うなどの「手なずけ行動」をとるため、被害に遭っていると実感しにくいという。
また、子どもは学校や習い事な…