17歳で産んだ娘と足を重ねる。片時も目が離せない(家族提供)
■小さないのち みんなで守る
彼に強要された1度きりのセックスで妊娠してしまった女子高生。気付いた時には中絶できる時期を過ぎ、病院には次々と受診を断られた。退学になるのが怖くて、学校には隠し通した。そんな事例を通じ、若年妊娠と教育の問題を考える。
妊婦の生徒「排除」傾向 退学処分や自宅待機
特集「小さないのち」
関西に住む高校3年生の少女(18)は、2年生だった今春、学校に隠し通したまま女の子を出産した。
趣味を通じて知り合い、交際していた20代の会社員男性と別れ話をしようと昨年、一人暮らしの男性宅を訪ねた。セックスの経験はなく、このとき無理やり関係を持たされた。以来、男性とは会っていない。
家族でスーパー銭湯に行った昨秋。母親は、少女のおなかがふっくらしているのに気づいた。「大丈夫? 妊娠したんじゃないよね」と声をかけたが、少女は「してない」と言って、黙り込んだ。
もともと生理不順で、何カ月も生理がないことがあった。一度きりで、まさか妊娠したとは思っていなかった。
「もしものとき、中絶には期限があるから。一生のことだから病院に行こう」。母親が説得し、学校帰りに女性医師の診療所を2人で訪ねた。
とても寒い日の夕方だった。診察時間の前で、まだ開いていない診療所の玄関わきで待った。少女は母親の手を握った。目にはうっすら涙が浮かんでいた。「一緒に乗り切ろうね」。母親は手を握り返した。
検査結果は妊娠6カ月ごろ。法律上、中絶できる時期を10日ほど過ぎていた。少女はモニターに映る赤ちゃんをじっと見つめた。産みたいという気持ちがわいた。
だが医師の言葉は冷たかった。「高校生なのに妊娠するなんて遊び回ってたんやろ。健診を受けていない人はここでは産めないよ」
ほかを探したが、「こんな時期…