インターネット掲示板で知り合った女子中学生に裸の「自画撮り画像」を送らせたとして、苫小牧署は2日、北海道苫小牧市高砂町1丁目、無職海下一貴容疑者(43)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
道警によると、海下容疑者は3月、福岡県内の中学生の少女(当時14)に裸の画像をスマートフォンで撮影させ、通信アプリ「LINE」で画像1枚を送らせた疑いがある。海下容疑者が管理人をするネット掲示板「BIGちゃんねる」に、少女が携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」から書き込みしたのを機に2人は知り合った。海下容疑者は少女をパスワードが必要な掲示板に誘導。アニメやゲームの話で交流を重ね、「付き合おう」と持ちかけた。LINEのほか、シャッター音を消すことができるアプリを導入したスマホを少女に送り使わせていた。道警は約1年間に画像約100枚を送らせたとみている。
■「ネット上の彼氏」、抵抗感薄く
スマートフォンなどで自分の裸の写真を撮影し送信してしまう「自画撮り被害」は後を絶たない。
警察庁によると、今年6月までの上半期に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は1142件で過去最多。被害児童594人のうち、自画撮り被害は4割を超え263人で最も多かった。うち約7割がコミュニティーサイトが原因だった。道警によると、道内で自画撮り被害にあった18歳未満の子どもは8月までに22人。児童ポルノ被害全体の約半数を占めた。
道警への取材では、逮捕された男は「写真を送らなければ自殺する」などと迫り、少女は「本当に自殺されたら自分のせいだ」と思い恐怖心から送信を断れなくなった。
今回の掲示板は書き込み手段がゲーム機とパソコンに限られており、男は「小中学生を掲示板に呼び、大人を排除したかった」などと供述していた。被害発覚の端緒はネットの通報だったという。
子どものネット利用に詳しい藤川大祐・千葉大教授(教育方法学)は「『ネット上の彼氏』として近づけば子どもの抵抗は薄く、大人から目につきにくい空間を作ったのも巧妙だ。保護者は子どもがネット端末を深刻な様子で操作していれば注意してほしい」と指摘する。(天野彩)
■「自画撮り被害」にあわないために(道警などによる)
・異性との出会いを求める書き込みや、自分の名前や学校、住んでいる地域など個人情報などを安易に掲載しない。
・ネット上で知り合った人に会わない。相手が別人になりすましたり、うそをついていたりすることがある。
・保護者はフィルタリングの有効活用を。スマホでは、携帯電話回線、無線LAN回線、アプリによる接続の三つのフィルタリングが必要。
・親子でネット利用のルールを作る。年齢や利用状況に応じた無理のないルールにし、すぐに相談できる雰囲気作りをする。
☆相談は、最寄りの警察署または警察相談専用電話「#9110」へ。