羽田空港の飛行ルートの見直し案
航空機からの部品落下が相次ぐなか、国土交通省は、部品を落下させた航空会社に行政処分を科していく方針を固めた。東京五輪などで発着数が増え、新たに都心上空の飛行を検討している羽田空港では、機体の「抜き打ち検査」も導入する。2020年度までに運用を始める。
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9月には大阪市でKLMオランダ航空機のパネルが落下して走行中の乗用車を直撃する被害が出たほか、茨城県稲敷市では全日空機から落下したパネルが見つかった。大惨事につながりかねず、空港がある地域を中心に落下物への対応を求める声が高まっていた。
だが、落下物を理由に航空会社を処分するルールは現在ない。そこで国交省は関連法規を改め、程度に応じ、業務改善命令などを出せるようにする方針だ。
さらに、五輪・パラリンピックに向けて発着便数の拡大が見込まれる羽田空港では、空港に常駐して機体や整備状況を確認する国の職員を増やし、検査にかける時間や頻度を増やす。「抜き打ちチェック」も導入し、部品落下が起きないよう指導・監督を強める。
現在、羽田空港に到着する飛行ルートは原則海上からだが、見直し後は新宿区や品川区、港区、大田区などの真上を低空で飛行する。このため騒音対策に加え、落下物への対策強化が求められていた。国交省は万が一被害が生じた場合に備え、国の責任で「見舞金」を払う仕組みも新たにつくる。
同省によると、部品脱落の報告は昨年10月までの7年半に437件。平均すると1年間で50件以上あった。報告義務があるのは「金属100グラム以上」など一定規模のものに限られ、海外の航空会社は含まれていないため、実際にはもっと多くの部品が落下しているとみられる。(伊藤嘉孝)