日本玩具博物館で展示されているおもちゃ=兵庫県姫路市、滝沢美穂子撮影
■「まだまだ勝手に関西遺産」
「関西には、個人が設立した、海外から評価を受ける博物館のあることを知ってほしい」
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そんな「関西遺産」に自ら売り込みを図るメールが、本社に届いた。その博物館とは、兵庫県姫路市の「日本玩具博物館」のことだった。
メールには、英オックスフォード大学日本研究図書館から、玩具博物館が出版した書籍の購入希望があったほか、フランスのミシュラングリーンガイドから「二つ星」の評価を受けたと書かれていた。「そんなすごいの?」とワクワクしながら、訪ねてみた。
田園風景の中に、白壁の土蔵6棟が並んでいるのが見えてきた。日本玩具博物館だ。土人形やたこ、ちりめん細工などの世界160カ国のおもちゃが迎えてくれた。館長の井上重義(しげよし)さん(78)が半世紀かけて集めたコレクションで、その数は9万点を超えるそうだ。
「名古屋より西のだるまは鉢巻き姿だけれど、東のだるまは、鉢巻きをしていない」。井上さんがそう教えてくれたので、記者も見比べてみた。「ほんまや! 知らんかった」。井上さんはこうも言った。「ここの特徴は社会に評価されずに消えつつあった、おもちゃという膨大な資料を残したことです」
話は54年前にさかのぼる。地…