フィリピンのドゥテルテ大統領が掲げる強硬な麻薬犯罪取り締まりの主体だった、警察による容疑者宅の訪問捜査チームが解体された。警官による少年射殺事件で批判が強まり、世論調査でドゥテルテ氏の信頼度が落ちたことを受けたとみられる。
ドゥテルテ氏は10日、「秩序を取り戻す」とし、捜査の主体を麻薬取締局に移すと表明していた。訪問捜査チームの解体で警察の役割は後退する。
フィリピンでは8月にキアン・デロスサントスさん(17)が警官に射殺されるなど少年の不審な殺害が相次ぎ、捜査への批判が一気に高まった。
民間機関が、9月下旬に18歳以上の1500人にドゥテルテ氏の実績について聞いた調査では、「満足」と答えた国民の割合が6月の78%から過去最低の67%に落ちた。信頼度についての問いでは、「信頼できない」が6月の7%から12%に増えた。
この結果を受けて、アベリヤ大統領報道官は、「就任1年のハネムーン期を終えており、想定内だ」と平静を装った。
ドゥテルテ氏の信頼度が下がった要因としては、反ドゥテルテ派の国会議員らがドゥテルテ氏の2億ペソ(約4億4千万円)の隠し資産疑惑があるとの見方を示している。さらに、5月に南部ミンダナオ島で始まった過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う武装組織と政府軍との戦闘をいまだ収束できないことも背景にありそうだ。(マニラ=鈴木暁子)