練習に励むパラアイスホッケーの日本代表チーム=昨年11月、北海道苫小牧市
平均年齢は41歳――。「氷上の格闘技」とも呼ばれるパラアイスホッケーで、円熟味あふれる日本男子が、2大会ぶりの冬季パラリンピック出場権をつかみ取った。来年3月、韓国・平昌で2010年バンクーバー大会の銀以来のメダル獲得を狙う。
16日、骨折して途中離脱した1人を除く16選手が最終予選があったスウェーデンから帰国した。DFの須藤悟主将(46)は「パラアイスホッケーにとって本当に大きい出場権です」と感慨深げだった。
バンクーバー大会では銀メダルに輝いたが、14年ソチ大会は出場権を逃した。「2大会連続で出られないことはあり得ない」と、競技の将来をかける思いで、最終予選に臨んでいた。
今月9~14日に5カ国の総当たり戦で残り3枠の代表権を争った。世界ランキング7位の日本は初戦で同9位のドイツに6―2で快勝。8位の地元スウェーデンに3―2、10位のスロバキアに4―2と、3連勝。最終戦は6位のチェコに0―1で敗れ、2位で平昌への切符を手にした。
ベテランたちがチームを支える。日本が初出場した1998年長野大会のころからプレーする最年長のGK福島忍(60)は還暦を過ぎ、61歳で平昌に挑む。「最終予選でも年齢は私がトップでしたよ」。笑い飛ばし、堅守でチームを救った。
チーム得点王だったFW熊谷昌治(42)は「トレーニングはしていますので、年寄り扱いされてもね」と苦笑い。「本番はランキングが上の相手ばかり。若い人に負けるつもりはない」
須藤主将は「カナダやアメリカは別次元(の強さ)。本番までに慣れる必要がある」。日本は今後、国際大会で試合を重ね、2大会ぶりのメダルへ、熟練の技に磨きをかける。(菅沼遼)
〈パラアイスホッケー〉 アイススレッジホッケーから名称が変わった。下半身に障害がある選手が、スケートの刃が2枚ついたスレッジ(そり)に乗る。両手に1本ずつ持つスティックでこぐように移動し、パックを操る。GKを含め1チーム6人でプレーし、15分3ピリオド制。冬季パラリンピック競技で唯一、身体接触プレーが認められている。アイスホッケーが人気な北米で盛ん。パラリンピックでは1994年リレハンメル大会から正式種目に採用された。日本は98年長野大会で初出場し、最高成績は2010年バンクーバー大会の銀メダル。