バグダッドで23日、イラクのアバディ首相(右)と会談をするティラーソン米国務長官=AFP時事
米国のティラーソン国務長官は23日、イラクの首都バグダッドを予告なしに初訪問し、アバディ首相と会談した。イラクでは少数民族クルド人が主導する自治政府「クルディスタン地域政府」(KRG)が先月、独立の賛否を問う住民投票を強行。以来、イラク政府との間で一触即発の緊張が続いている。米国は「両者の衝突はイラクと周辺地域を不安定にさせる」と危惧し、仲裁に乗り出した。
「我々は懸念し、悲しい思いをしている」
ティラーソン氏はアバディ氏との会談冒頭、こう切り出した。イラク政府は今月15日以降、KRGが実効支配する油田地帯キルクーク州などの係争地に部隊を派遣し、すべて制圧した。KRGは猛反発し、両政府の軍事衝突が懸念される事態になっている。ティラーソン氏はこうした緊張状態を緩和するように、イラク政府に求めた。
ティラーソン氏は「我々は(イラク政府、KRGの)双方に友人がいる。(KRGと)協議、対話を始めて欲しい」と求め、「双方がイラク統一に尽力することで全ての人々の権利が尊重され、(イラクの)未来は安全で繁栄したものになる」と強調した。
米国にとってはイラク政府もKRGも、過激派組織「イスラム国」(IS)に対する掃討作戦で共闘する「同盟相手」。両政府が衝突すれば、「対IS掃討作戦が停滞するのは必至」と米国は懸念を深めている。
また米国にとっては、イランの支援を受けるイスラム教シーア派の民兵組織がイラク軍と共に進軍したことも頭痛の種だ。トランプ米政権はイランを敵視し、イラクでのイランの影響力拡大は看過できない。
ティラーソン氏は22日、訪問先のサウジアラビアで「ISとの戦いが終わりに向かう今、イラクにいるイランの民兵は帰るべきだ」と非難した。(ワシントン=杉山正)
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