タイのプミポン前国王の葬列を彩る黄金色の車。その後ろに、壮麗な火葬施設が見える=26日、バンコク、貝瀬秋彦撮影
昨年10月に88歳で死去したタイのプミポン前国王の葬列が26日、王宮周辺を巡った。遺体は同夜、火葬に付される。「国父」と慕ってきた国民らはそれぞれの思いを胸に、最後の別れを告げた。
葬列は伝統様式にのっとり、様々な伝統衣装、軍服などをまとった人たちや黄金色に輝く木製車などが登場。前国王の長男のワチラロンコン現国王ら王族もゆっくりと進む葬列の中でともに歩を進めた。同日夕から、王宮前広場に設けられた火葬施設の中で儀式が行われた。40を超える国の王族や国家元首らが参列し、日本からは秋篠宮ご夫妻が参列した。
王宮周辺は葬列を見送りに来た市民らであふれ、前国王の写真をかざしたり、王宮に向かって手を合わせたり。葬列が前を通ると、ひれ伏すようにして追悼の意を表した。教育省で働いていたアネックさん(61)は「前国王の時代に生まれてきたことは本当に幸運だ。素晴らしい指導者で誰からも愛された。もういないと思うと言葉が見つからない」と声を詰まらせた。
保険会社で働くサエンダオさん(44)は午前7時に来たが、人混みで王宮周辺には近づけず、終了間際に少しだけ葬列を見ることができた。「ここにいられるだけで本当に感動的だ。前国王にありがとうと言いたい」と話した。
バンコクの飲食店や会社は軒並み休業し、人通りもまばら。一方、各地に設けられた追悼施設は喪服姿の市民で埋め尽くされた。
保険会社員のラチャヤパさん(…