米首都ワシントンの連邦地裁は30日、性的少数者で、生まれた時の体と心の性別が一致しない「トランスジェンダー」の米軍などへの入隊を禁止したトランプ政権の方針に対し、執行を一部差し止める決定をした。現役や入隊を希望するトランスジェンダーの原告からの「憲法の下で平等に扱われる権利がある」との訴えを認めた。
トランスジェンダーの米軍入隊禁止 トランプ氏が署名
ホワイトハウスのサンダース報道官は「決定が出たばかりで、司法省が内容を精査中」と述べるにとどめたが、上訴する可能性がある。
トランスジェンダーの入隊はオバマ政権下の2016年に認められたが、トランプ氏は今年7月、「米軍のいかなる役務でも受け入れないことにした」とツイッターで表明。8月、トランスジェンダーの人の入隊を実質禁止するほか、すでに在籍するトランスジェンダーの人が性適合手術を受ける際の公費支出を止めるよう指示する文書に署名していた。
連邦地裁の決定は、性適合手術を受ける際の公費支出の禁止の差し止めの訴えに関しては「原告から影響が示されていない」として退けた。(ワシントン=香取啓介)