一回表ソフトバンク無死一塁、打者今宮のとき、柳田は二盗成功=林敏行撮影
(31日、日本シリーズ第3戦 ソフトバンク3―2DeNA)
ソフトバンク3連勝、日本一に王手 日本シリーズ
パ・リーグ王者は強力打線の破壊力だけではない。「足攻」で、ソフトバンクが地力の差を見せつけた。
凝縮されていたのが、1点リードの四回の攻撃。1死一塁から、7番明石のライナー性の打球が、遊撃手の頭上を破る。捕球されていれば併殺の可能性もあったが、一塁走者の松田は好スタートを切って二塁ベースを蹴ると加速。一気に三塁まで陥れた。
ベンチは好機と捉え、揺さぶりをかける。一、三塁となり、8番高谷が3球目でセーフティースクイズを試みたがファウル。直後、一塁走者の明石が二盗に成功した。これが、ウィーランドの集中力を散らせた。5球目。高谷は甘く入った速球を逃さず、前進守備となった二遊間を抜く。「いいところに飛んだ」と、貴重な2点適時打となった。
村松外野守備走塁コーチは「ウィーランドは簡単に走れる投手ではないが、いいスタートを切れば、勝負できる」と明かした。明石は言う。「チャンスは少ない。塁に出たら拡大させられるよう意識している」。打てなければ、走塁で打開しようとする姿勢があるから、一歩目に迷いもない。
先制した一回、安打で出て次打者の初球に決めた柳田の二盗もベンチのサインだった。強打に頼るだけではない、攻撃の引き出しの多さも王者の強さだ。
敵地・横浜に舞台を移しても、自在な攻めで、第1戦から3連勝。2年ぶりの日本一に王手をかけた工藤監督は「明日決めるくらいの強い気持ちでいきたい」。開幕前に掲げたV奪還まで、あと1勝だ。(甲斐弘史)
○工藤監督(ソ) 「(一回に盗塁を2度阻んだ高谷について)ある程度、相手が仕掛けてくることは考えていたが、あそこに投げるしかアウトにできないようなところに投げてくれた。(救援陣について)森が六回のピンチを切り抜けてくれたのが大きかった。岩崎も八回をシーズン同様に投げてくれた。(日本一に王手をかけて)一気にいけるようにフルスロットルでいきたい」
○武田(ソ) 五回途中4安打5四死球、1失点。「調子はいまいちだったが、粘り強く投げることを考えた」
○高谷(ソ) 今年の日本シリーズ初先発で一回に2度の盗塁阻止。四回には2点適時打。「(盗塁阻止の)準備はしていた。あり得ると思っていた」