米ニューヨーク・マンハッタンで31日に起きた事件で、けがをした女性(中央)を救護する救急隊員=ロイター
仮装した人々が米ニューヨークの繁華街を練り歩くハロウィーンパレードの4時間前、マンハッタン南部で悲鳴が響いた。男がピックアップトラックで自転車専用道を暴走し、歩行者ら8人が犠牲になった。世界の大都市では昨夏以降、車を使った防ぎようのない犯行が繰り返されている。
10月31日のハロウィーンを迎え、仮装姿の通行人が目立つニューヨーク・マンハッタン。午後3時過ぎ、事件は起きた。
トラック1台がハドソン川沿いの幹線道路に設けられた自転車専用道に突然進入し、南方に向けて暴走を始めた。自転車の利用者や歩行者らが次々とはねられた。スクールバスにも衝突し、子ども2人を含む4人が負傷した。
「すぐにテロとわかった。自転車道をトラックで暴走するなんて」。勤務を終え、近くの飲食店から帰路についた直後だった料理人、ユージーン・ダフィーさん(23)は朝日新聞記者の取材に証言した。
信号待ちをしていると、背後から大きな音が響いた。振り向くと、トラックが自転車道に突っ込んで、暴走しているのが見えた。男性2人が倒れ、足が不自然な方向に曲がり、頭部も血だらけになっていた。現場は大混乱だった。大勢の女性が泣き叫び、1人は倒れていた人に向かって必死に声を掛けていた。
運転していた男(29)はトラックを降りた後、銃のようなものを手に交差点の中央を走り回った。
大学生のタヒド・カビールさん(23)は歩道橋の上からその姿を目撃した。「最初はハロウィーンで仮装しているのかと思った」。男が手にしていたのは後にペイント銃と判明したが、警官の発砲とみられる銃声が5、6回響き、身を伏せた。頭を上げると、男は取り押さえられていた。
現場では6人の男性の死亡が確認され、別の2人は搬送先の病院で死亡した。米メディアによると、逮捕された男は警官に腹部を撃たれた。男は「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだという報道もあるが、カビールさんは「男は特に声は上げなかった」と話した。
どこにでもある車が突然凶器に…