米国際貿易委員会(ITC)は10月31日、中国などの太陽光パネルの輸入が急増し、米国の産業に深刻な損害を与えているとして、セーフガード(緊急輸入制限)を発動するようトランプ大統領に勧告することを決めた、と発表した。
ITCは通商法201条に基づき、最大35%の関税をかけるなどの制裁措置を取るよう勧告しており、トランプ氏が最終判断する。トランプ氏は今月、アジア歴訪で中国を訪問する。中国に対し、貿易赤字の削減策を求める方針だ。
これまでもトランプ政権は、最大の貿易赤字相手国である中国などに対する制裁措置の実施を強化している。
10月27日には商務省が、中国製のアルミ箔(はく)に対して最大162%の反ダンピング(不当廉売)関税をかける仮決定を発表。同省によると、トランプ政権発足後、反ダンピング関税などの調査開始は77件あり、前年から6割増えたとしている。
米国によるセーフガードでは、ブッシュ政権が2002年、米国内の鉄鋼産業を守るために発動。その後、世界貿易機関(WTO)で協定違反と認定され、撤回した。今回、発動されればそれ以来になる。(ワシントン=五十嵐大介)