日米両政府は、6日の安倍晋三首相とトランプ大統領との首脳会談で、安倍政権が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」について協議し、日米共同の外交戦略として表明する方向で最終調整に入った。日米が同盟を基軸に、市場経済や民主主義といった共通の価値観を持つインドや豪州とも連携し、南シナ海や東シナ海で権益拡大を図る中国を牽制(けんせい)する狙いがある。
複数の日本政府関係者が明らかにした。インド太平洋戦略は昨年8月、ケニアで開かれたアフリカ開発会議の基調演説で安倍首相が初めて打ち出した。太平洋からペルシャ湾に至るインド太平洋地域を「自由と法の支配、市場経済を重んじる場」とし、ルールに基づくインフラ整備や貿易・投資、海洋の安全保障協力を進めていく外交戦略だ。
背景には、中国の習近平(シーチンピン)指導部が掲げる「一帯一路」構想がある。中国が豊富な資金力を背景にアジアやアフリカ、欧州など各国に港湾整備や投資を通じて安全保障面で影響力拡大をはかろうとする構想に、日米両政府は警戒を強めている。
首脳会談では、アジア太平洋地域の秩序づくりを日米がリードしていく姿勢を示す。豪印を含む4カ国の首脳レベルの戦略対話など具体的な連携策も協議するとみられる。(小野甲太郎)