1日の衆院本会議であった首相指名選挙では、自民党総裁の安倍晋三首相が「基礎票」に1票足りなかった。衆院事務局によると、1票が「投票者の氏名を記載していない」として無効になっていた。
衆院では465人全員が投票し、安倍首相が312票を獲得した。ただ大島理森議長も含めた与党票は313。1票足りず、無効になったのは渡辺孝一氏(比例北海道)とみられる。渡辺氏は1日夜、記者団に対し、投票用紙に安倍首相の名前を書いたものの自分の名前を書き忘れたとし、「私のミスでした。申し訳ありません」と語った。
安倍首相に次いで票を獲得したのは、立憲民主党の枝野幸男代表(60票)。会派「立憲民主党・市民クラブ」の票に、自由党と社民党、無所属の青山雅幸氏が投票した。
希望の党は、渡辺周・元防衛副大臣に投じた。同党会派に所属する民進党の前原誠司・前代表も渡辺氏。一方、民進出身で衆院選は無所属で立候補、当選した中島克仁氏は前原氏に投票した。
民進党の大塚耕平代表は16票。このうち13票は同党の岡田克也元代表らが結成した衆院会派「無所属の会」。自民出身で無所属の中村喜四郎氏も、安倍首相ではなく大塚氏に入れた。
一方、参院では安倍首相が151票を集めた。与党会派から2人欠席したものの、アントニオ猪木氏や渡辺喜美氏ら3人も票を投じた。
参院で2番目に票を得たのは、枝野氏ではなく大塚氏(48票)。枝野氏は9票にとどまり、民進会派が残る参院の現状を示すような票差になった。
共産党と日本維新の会はそれぞれ独自行動をとり、共産は志位和夫委員長、維新は片山虎之助共同代表に衆参の所属議員全員が投票した。(笹川翔平、久永隆一)