2017年プロ野球日本シリーズ第2戦 ソフトバンク―DeNAの七回裏に、タッチプレーをかいくぐって生還するソフトバンク・今宮
海の向こうの大リーグではワールドシリーズが盛り上がっている。3勝3敗で迎える最終戦は、ドジャースのダルビッシュが先発予定だ。「ワールドシリーズと日本シリーズは似た展開になることが多い」という説もあるが、今季の日本シリーズは残念ながら違う展開になっている。第3戦まで、走攻守ともソフトバンクの強さが際立っている。DeNAが日本一になるためには、もう4連勝しか道はない。
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過去67回の日本シリーズで、3連敗の後に4連勝して日本一になったのは、わずか3チーム。いずれも長くファンの記憶に残る戦いだった。
1958年は西鉄。鉄腕・稲尾和久投手が第4戦から4連勝して巨人を倒し、「神様・仏様・稲尾様」の有名なフレーズが生まれたシリーズだ。
86年は西武と広島が死闘を繰り広げ、唯一、第8戦までもつれた。第1戦は引き分けで、第2戦から広島が3連勝。しかし、第5戦で救援登板の工藤公康投手(現ソフトバンク監督)が延長十二回にサヨナラ安打を放ち、流れが一転。西武が4連勝で日本一となり、工藤がMVPを獲得した。
最も近いのが89年の巨人と近鉄の戦い。3連勝した時、近鉄・加藤哲郎投手の「(巨人はパ・リーグ最下位の)ロッテより弱い」という発言がマスコミに大々的に取り上げられ、巨人の闘争心に火を付けた。よみがえった巨人が一気に4連勝し、近鉄初の日本一を阻止した。
さて、今回のシリーズ。DeNAにこれから4連勝の可能性はあるのだろうか。
ソフトバンクのある選手が雑談の中でふと漏らした言葉を、同僚の記者が聞いた。「DeNAより楽天の方が戦いにくかった」と。レギュラーシーズンとクライマックスシリーズ(CS)で苦戦した楽天に比べると、DeNAの方がくみしやすいのだという。もちろん、記者会見や公式の取材ではなく、一部選手の雑談の中での言葉。しかし、それが3連勝しての本音なのだろう。
28年前と同じように、DeNAの選手がこの言葉を聞いたらどう思うだろうか。あの時の巨人のように、「怒り」とともに力を発揮し、劣勢を一気にひっくり返せるだろうか。
セ側は最近4年連続で日本シリーズで敗れている。交流戦でも8年連続の負け越しだ。楽天とDeNAのレギュラーシーズン順位は同じ3位。「楽天の方が……」というのは、選手が感じるリーグ間格差なのだろう。
このまま敗れてもいいのか。第4戦、DeNAは「セ・リーグの意地」を背負って戦うことになる。(吉村良二)