警視庁が押収したロイヤルフーズやグループ会社の預かり証や名簿、パンフレットなど。預かり証には「新規ビジネス・応援運用金」と書かれている=万世橋署(画像の一部を加工しています)
実態のない投資話で高齢者らから約1億8千万円をだまし取ったとして、警視庁は15日、健康食品卸売会社「ロイヤルフーズ」(東京)の社長、原田一弥容疑者(63)=静岡県熱海市=ら計8人を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕し、発表した。原田容疑者は容疑を認め、「返す意思も能力もないのに会員から預かり金名目で金をだまし取り続けた」と述べているという。
生活経済課によると、同社は2007年3月~16年8月、1046人から約60億円を集めたが、大半が返金されていない。12年4月ごろには破綻(はたん)状態に陥っていたにもかかわらず、資金を集め続けていたという。
原田容疑者は逮捕前の調べに、08年に都の行政処分を受けて金融機関から融資が受けられなくなり、常連客から金を集めることを思いついたと説明。弁護士から違法性を指摘されたが「すでに自転車操業に陥り、やめられなかった」と話したという。
8人の逮捕容疑は13年12月~14年10月、「2年で12%の利息がつく」などとして輸入ワインや化粧品販売など実態のない事業への出資を持ちかけ、東京と神奈川の50~80代の男女8人から計約1億8千万円を詐取したというもの。
同社は、日用品の格安販売で貸店舗に客を集め、セミナー形式で健康食品などを販売。歌手の小林幸子さんや元フォーリーブスの江木俊夫さんを招いたディナーショーやツアー旅行も企画し、会員を増やしていった。小林さんの事務所担当者は「10年前に都内で一度ディナーショーに出演したが、健全な業務をしている企業と信用していた。困惑しかありません」と話した。