「僕自身が羨ましくなるほど、君は僕の心の中で大切な位置にいる」、「人ってなんだってこんなに変わり易いのか。共白髪になるまで添い遂げようと言ってたあなたはとっくに禿げた」など、シンプルながらとてもユーモアあふれるフレーズがに、同じく流れるような毛筆のタッチで描かれたシンプルなイラストが添えられている。これはここ数年、中国国内のネットで大人気となっている「小林漫画」だ。中国新聞網が報じた。
作者は知る人ぞ知る写真家で、コラムニストでもある林帝浣さんだ。林さんは中山大学孫逸仙紀念病院の客員教授で、人的・文化的芸術治療科の科長主任でもある。
林さんの微博より
林さんの描くイラストは、恋愛から結婚、試験などを題材に、ちょっとしたエピソードやほっこりさせるフレーズで読者を励ましたり、ズバッと切り込むようなフレーズで読者に刺激を与えたりしてくれる。また、人生における浮き沈み、生活における悩みの種なども、林さんはユーモラスに描き出している。
「心がこもっていない努力は、自分をごまかしているだけ」というフレーズに、本が並ぶ机に向かいながら、スマホをいじっている学生のイラストが添えられた作品を見て「図星」と感じる人も多いだろう。また、「大学入試前の最後の授業で、担任の先生が、『君たちは問題を見なさい。私はそんな君たちを見てるから』と言っていた」というフレーズに思わず涙腺が緩んだという人も多い。
林さんの作風は、近代中国の代表的な漫画家・豊子愷に似ているという声もある。林さんは時間を見つけては、書道の練習をしたり、中国画を学んでおり、それが彼の作風に影響を与えているのは間違いない。「豊子愷と知り合う機会には恵まれなかったが、彼は僕の『先生』と言ってもおかしくない」と林さん。
空想に基づいた作品は、生活感がなく、人々の暮らしに密着していないため、見る人の心を動かすことはできない。林さんは、「多くの作品は日々の暮らしで感じたことからインスピレーションを得ている。日々の暮らしに好奇心を持ち、熱意をもって向き合わなければインスピレーションを得ることはできない。列車や飛行機に乗っている時にひらめいたこと、誰かと酒を飲みながらしゃべっていた時にひらめいたことなども『小林漫画』の作品になっている。疲れた時に、漫画を描くことで自分を慰めたり、感じたことを漫画を通じて表現したりする。自分がハッピーでなければ、周囲の人をハッピーにしたり、幸せにしたりすることはできない。人生において最も自在にできるのは自分の心なのだから」と話す。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年5月25日