学校法人「加計学園」が運営する岡山理科大の獣医学部新設が認可されたことをめぐり、衆院文部科学委員会で15日に審議が開かれた。野党側は獣医学部の新設の前提として、政府が国家戦略特区で規制緩和を認めた過程を問題視し、「特区の条件は満たされていない」などと追及したが、政府・与党側は「手続きに問題はなかった」と主張。議論は平行線をたどった。
政府は2015年6月、獣医学部新設の検討のためとして「獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになる」「既存の大学・学部では対応が困難」などの4条件を閣議決定した。その条件を満たしたとして愛媛県今治市が国家戦略特区に選ばれ、加計学園の獣医学部申請につながった。
しかし、11月9日付の答申で獣医学部新設を認めた大学設置・学校法人審議会の審査の過程では、「獣医師の需要が不明だ」として加計学園に説明が求められたことが判明。15日の審議では野党側が「4条件はクリアされないまま特区が決まった」(社民党の吉川元氏)などと主張した。
こうした指摘に対し、長坂康正内閣府政務官は「設置審の指摘についてのコメントは控える」と答弁。林芳正文部科学相も「特区が適切な手続きを経て認められているという前提で、設置審に議論していただいた結果だ」と述べ、手続きに問題はなかったとの認識を示した。
特別国会では17日に安倍晋三首相による所信表明演説があり、それに対する各会派の代表質問が20~22日に行われる。今月下旬には衆参両院の予算委員会が想定されており、今後、国会論戦が本格化していく。参院で加計問題を審議する文教科学委員会は12月初旬に開かれる見通しだ。野党側は引き続きこのテーマで政府を追及する構えだが、与党側は質問時間の配分見直しを進める姿勢を崩しておらず、質問時間の確保も焦点となる。(根岸拓朗、山岸一生)