帰島後、再開した民宿の前に立つ貴舩森さんと妻の恭子さん=2日、鹿児島県屋久島町の口永良部島、島崎周撮影
天皇、皇后両陛下が16日、鹿児島県の屋久島を訪れ、2015年の爆発的噴火で一時全島避難を強いられた口永良部(くちのえらぶ)島の住民と懇談する。火山ガスで枯れた花木を再び植え復興に取り組む住民たちは、両陛下の来訪を心待ちにしている。
皇室とっておき
ハイビスカスやエラブツツジ、アジサイ、オリーブ……。島中心部・本村(ほんむら)地区長の貴舩(きぶね)森さん(45)が営む民宿の庭には約20種類の花や木が植えられている。
幼い頃から土いじりが好きで、将来、自分の住む所は「花でいっぱいに」という夢があった。大阪や東京で働いた後、26歳で島に戻った。妻の恭子さん(44)と始めた民宿の庭に、たくさんの花木を植えた。
暮らしが一変したのは15年5月29日。草刈りをしていると、新岳から黒い煙が上がった。島にいた137人は全員、屋久島に避難した。全島避難は同年末に解除されたが、貴舩さんの地区は翌年6月まで待たなければならなかった。1年ぶりに暮らせるようになった家や民宿はカビが生え、草は伸び放題。大切に育てた花木は火山ガスで枯れたり、シカに食べられたりしていた。
花木の再生には時間がかかった…