学校法人森友学園が開設を目指した小学校舎を施工した藤原工業(大阪府吹田市)が16日会見し、学園への国有地値引きの経緯を調べている会計検査院に、地中ごみ撤去費の独自の試算を提出したことを明らかにした。国はごみが敷地の大部分で深さ3・8メートルまである前提で積算したが、同社は当時の状況をもとに3メートルとして試算。両者の見解が食い違う結果となった。
特集:森友学園問題
この日、大阪市内で会見した同社の藤原浩一社長によると、6月に同府豊中市の国有地に実地検査に入った検査院から資料提供を求められ、試算を提出したという。検査院は収集した資料をもとに、国有地売買の経緯や値引き額の妥当性を判断するとみられる。
同社は試算で、敷地をごみが混入している深さによって4区域に分割。ごみがあるのは最も浅い区域で「0・5メートル」、最深でも「3メートル」の前提で試算。杭打ち部分以外は「3・8メートルまでごみがある」と見積もっていた国の積算と食い違った。藤原社長は「配管工事などに携わり、現場を知る当社としては深さは平均で3メートルが妥当と考えた」と話した。
国の積算額は約8億2千万円。藤原社長は大量のごみがあったのは事実だとし、「いい数字だ」と評価した。ごみ混入の対象面積を国が「敷地の6割」とする一方、藤原工業は「小学校にするのでグラウンドの表面50センチメートルは入れ替える必要がある」として「全域」に設定しており、結果的に総額は税込み9億6120万円となった。
一方、国の担当者らを背任容疑で告発した弁護士グループは「国の積算は過大」とする専門家の鑑定を発表。鑑定は公共工事の国の基準に沿えば、「撤去費は4億3千万円が適正」としている。
藤原工業は同日、学園の籠池泰典・前理事長夫妻=いずれも詐欺罪で起訴=に未払い工事代金のうち1億円の賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。夫妻が「工事代金の支払いには私学助成金を充てる」などと虚偽の説明をしたと主張している。(畑宗太郎、一色涼)