東急ハンズが開催したワンデーインターンシップ。私物を商品に見立て、店頭販売のシミュレーションをした=15日、東京都新宿区の本社
学生有利の「売り手市場」は2019年卒の学生の就職活動でも続きそうだ。学生に自社をPRして応募につなげようと、1日限りの「ワンデーインターンシップ」を開く企業が増えている。学生にとって多くの企業を知る機会が増えるメリットがある一方で、採用活動の実質的な前倒しだとの批判もある。
大学生の就職内定率75.2% 10月時点で過去最高
東急ハンズが15日に開いたワンデーインターンには約30人の学生が参加。実演販売を題材に相手の興味を引きつける話し方を学んだ。ハンズはこうしたイベントを8月から12月にかけて計14回開く。「自社に興味を持ってもらう重要な入り口だ」と広報担当者。すでに8社のワンデーインターンを受けたという小売業界志望の男子学生(21)は「効率よくいろんな会社をみられる」と好意的だ。
東京海上日動火災保険は今年初めてワンデーインターンを開催する。今月21日以降、東京と大阪で約1千人の学生を受け入れる。就職人気企業ランキングで上位の常連だが、採用担当者は「学生は採用試験を受ける企業を早めに絞り込む。積極的に学生と接触しないと、志望先に入れてもらえないかもしれない」と危機感を募らせる。
就職情報会社マイナビによると、今夏以降にインターンを実施したか、予定している約700社のうち、ワンデーインターンを開催する割合は72%。前年から14ポイント増えた。インターンは学生に学習の機会を与えることが本来の目的で、複数日の実施が望ましいとされる。経団連は4月に出した指針で「教育的効果が乏しく、企業の広報活動や選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しない」としたが、事実上の会社説明会として利用している企業も少なくないのが実態だ。
法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授は「(経団連の指針では)会社説明会の解禁は3月。就活日程がさらになし崩しになり、実質的な採用活動の早期化に拍車がかかる可能性がある」と指摘する。(村上晃一)