「本荘マリーナ」付近に漂着した木造船=24日午前9時43分、秋田県由利本荘市、朝日新聞社機から、迫和義撮影
23日午後11時25分ごろ、秋田県由利本荘市石脇の船舶係留施設「本荘マリーナ」付近に「不審者がいる」と、近所の人から110番通報があった。現場に駆けつけた県警由利本荘署員が、施設周辺で国籍不明の男性8人を発見。男性らは県警などの事情聴取に、「北朝鮮から漁のために来たが、船が故障して漂着した。北朝鮮に帰りたい」などと話しているという。
木造船漂着「北朝鮮から来た」 国籍不明8人保護 秋田
県警などによると、施設の近くの住民宅に不審な男が助けを求めて来たため、警察に通報したという。
8人が発見された場所の近くの海上で、漂着したとみられる全長20メートルほどの木造船が見つかった。船には、夜間に海面を照らして魚をおびき寄せるランプがついていて、船内からは漁で取ったとみられるイカが見つかった。
男性らは「北朝鮮を出たのは1カ月ほど前」と話しているが、全員、自力で歩けるなど健康状態に大きな問題はないという。8人は同署内で保護され、県警や仙台入国管理局などが朝鮮語の通訳を介し、事情を聴いている。所持品も調べているが、不審な物は見つかっていないという。
木造船の漂着を受け、海上保安庁は24日朝から、巡視船や航空機で、ほかに不審船などが漂流していないか、周辺海域の調査を始めている。小此木八郎国家公安委員長は閣議後の会見で、「関係機関と連携し、適切な対応をする」と話した。今後、必要な聴取や手続きを経て、北朝鮮に帰すことになる見通し。
「本荘マリーナ」に隣接する海水浴場を散歩していた男性(70)は、「毎朝このあたりを散歩して7年になるが、国籍不明の船が漂着するなんて」と驚いた様子で話した。