厚生労働省は、体と心の性が一致しない性同一性障害の人が体を心の性に合わせる「性別適合手術」を、来年度から公的医療保険の対象に含める方針を固めた。29日に開かれた中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案し、大筋で了承された。
この手術はいま、公的保険の対象外のため多額の費用がかかる。それが保険適用されれば、原則3~1割の自己負担額で済むようになる。高額療養費制度によって、自己負担額に上限も設けられる。
性同一性障害の人は精神保健福祉法上、精神障害と位置付けられている。性別変更を認める2004年施行の特例法は「20歳以上」「婚姻していない」などに加え、子宮や精巣などを摘出する性別適合手術を受けることを変更の要件としている。
厚労省は性別適合手術を受けるための医療環境が整ったことや、性的少数者が社会的に認知されてきたことを踏まえて、保険適用の可否について議論が必要と判断していた。(水戸部六美)