経済界が2019年10月の消費増税にあわせて追加負担する年3千億円の企業拠出金のうち、約1千億円を来年度から前倒しして拠出する見通しになった。待機児童対策の財源確保を急ぐ政府の要請を受け入れた。政府は認可保育園の運営費などに充てることにしており、来年の通常国会に関連法改正案を提出する。
各企業はいま、使い道を児童手当や企業主導型保育所の整備費などに限った「事業主拠出金」として、社会保険料の標準報酬の0・23%分にあたる年約4千億円を拠出している。
政府は関連法を改正し、負担率の上限を現行の0・25%から0・45%まで引き上げたうえで、拠出金が来年度は約5千億円、20年度に約7千億円に増えるように、実際の負担率を政令で定める方向だ。拠出金の使い道も拡大し、政府が20年度末までの達成をめざす32万人分の保育の受け皿づくりに使えるようにする。各企業の拠出金の負担額は、来年度から段階的に増すことになる。
企業拠出金をめぐっては、安倍晋三首相が先月、待機児童対策や教育無償化策などを盛り込んだ年2兆円規模の政策パッケージの実現に向け、消費増税の税収増で足りない3千億円の追加負担を経済界に要請。経団連や経済同友会が受け入れを表明したが、政府はそのうち1千億円を来年度から前倒しで拠出してもらえるよう、水面下で交渉していた。