坂本龍馬(高知県立坂本龍馬記念館所蔵)
高校の歴史を暗記中心から考える科目にしよう――。そんな狙いから、高校や大学教員ら約400人でつくる「高大連携歴史教育研究会」(会長=油井大三郎・東京大名誉教授)が、教科書や入試で覚えなければならない歴史用語の精選案を公表した。なぜ、そして、どうやって選んだのか。研究会の運営委員長の桃木至朗・大阪大教授に聞いた。
――坂本龍馬や吉田松陰、クレオパトラが用語のリスト案から削られ、教科書に載らなくなるのか、と議論を呼んでいる。
龍馬や松陰は不必要? 高校の歴史用語「約半分に」案
こうした人名を教科書から完全に削ると受け取られているが、全くの誤解だ。
今回の案は教科書の本文で扱って全員が覚え、入試で知識を問う最低限の用語のリストだ。教科書の本文以外の資料や図版、コラム、注などの部分でいろいろな用語を使うことや、入試で知識を問う以外の形式で取り上げることを否定しているわけではない。覚える用語を絞り込むことで、逆に多様な取り上げ方が可能になる。
――こうした人物は、歴史を学ぶうえで必須では。
これらの人名は小説やドラマでも有名で、小中学校段階で既に親しんでいる。
小中学校は人物を重視して日本史を学ぶが、高校は世界史、日本史とも偉人伝より、歴史の流れや社会の構造の変化を学習する。人名や事件名はその手がかりだ。そこで、小中で学んだ知識や、歴史を大きく動かしたわけではない人名、事件名は大胆に削った。
――どうして精選を。
入試科目である世界史B、日本史Bの主な教科書の用語数は1950年代の3倍近くに増え、学校の授業の時間内では教科書が全然終わらない。難関大学を目指す生徒は多数の用語をひたすら暗記し、さらに補習が必要になる。「これではコスパ(効率)が悪い」として、入試で歴史を選択する高校生が減っている。歴史で受験しない生徒は補習を受けないから、教科書の途中で勉強が終わってしまう。理系の歴史離れは特に深刻だ。
■時代に合わせ、用語入れ…