国連は4日、フェルトマン事務次長(政治担当)が5~8日の日程で北朝鮮を訪問すると発表した。北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相らとの会談では、核・ミサイル開発が主要議題の一つになるとみられる。地域を不安定化させる挑発行為をやめるよう訴え、緊張緩和の糸口を探る意向とみられる。
国連のデュジャリック報道官は会見で、訪朝は9月の国連総会で北朝鮮側から「政策協議のため」として提案があったもので「幅広い協議になる」と述べた。金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長と会談予定があるかについても記者団から質問が出たが、デュジャリック氏は答えなかった。今回の訪問がグテーレス事務総長の訪朝につながるかとの問いには「今後も続くことを期待する」と述べた。AP通信によると、フェルトマン氏は経由地の北京で、中国の外務次官と会談した。
フェルトマン氏は、30年近く米国の国務省に勤めたベテラン外交官。中東と北アフリカが専門で駐レバノン大使や国務次官補を歴任した。退官後に国連に移り、2012年に当時の潘基文(パンギムン)事務総長に事務次長に任命された。
今年1月に就任したグテーレス事務総長は、安全保障理事会の一連の決議を無視して核・ミサイル開発を続ける北朝鮮問題に懸念を示してきた。先月末の弾道ミサイル発射の直後にも、発射は国際社会の懸念に対する北朝鮮の「完全な軽視(姿勢)」を示したと断じ、強く非難する声明を発表。地域を不安定化させる行為をやめるよう北朝鮮に強く求めたほか、緊張緩和のために全ての関係国と協力する姿勢を示していた。
国連によると、国連高官としては、2010年に潘氏の特使としてパスコー事務次長(政治担当)が訪朝した。(金成隆一)