中国は4日、地上配備型の中間段階(ミッドコース・フェイズ)でのミサイル迎撃システムの技術実験を国内で実施し、所期の目的を達成した。実験は防御的なものであり、特定の国を念頭に置いたものではない。中国国防部(国防省)が同日夜、発表した。
■深夜に自ら発表した理由
中国軍当局が地上配備型ミサイル迎撃システムの技術実験の実施を対外公表したのは2010年1月11日、2013年1月27日、2014年7月23日、2018年2月6日に続き5回目だ。発表内容を見ると、情報は簡潔で表現も同様であり、計画通りに行われた正常かつ通常の実験であることが分かる。だがそれでも情報量は大きい。軍事専門家の宋忠平氏は「中国の地上配備型ミサイル迎撃技術がどんどん成熟し、すでに実際の迎撃能力と戦闘力を備えたことを示している」と指摘した。
奇しくも同じ4日、米ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が、台湾海峡を通過したうえ、大仰に宣伝して、意図的に緊張要因を造り出し、地域の平和と安定を妨害した。一方で、米時間4日午後3時(北京時間5日未明)には、バイデン米大統領が米国務省で初の重要演説を行い、任期中の外交政策の基調を定めることとなっていた。過去において、こうした時期的な偶然の一致は、いずれも一部の外国メディアが中国の正常な軍事訓練に汚名を着せ、関連付けた解釈をし、「中国の矛先は米側に向いている」と騒ぎ立てるのに用いられてきた。
従って、中国国防部がこの情報を自ら公表したのは、行われる可能性がある「事実と異なる報道」に対する「迎撃」でもある。従来と比べて注目に値するのは、今回は実験当日直ちに自ら公式に対外公表した点だ。これは解放軍の開放性と透明性を十分に示すものであり、外国が行き過ぎた反応や憶測的解釈をし、これを利用して「中国の脅威」を誇張することを防ぐものだ。
宋氏は、「今回の実験が上述のような報道された出来事と関連がなく、ターゲットもないのは確かだ。地上配備型の中間段階ミサイル迎撃システム技術実験は防御的なものであることを強調する必要がある。防御的である以上、脅威ではなく、第三国を標的とするはずもない」とした。
現在までに、同様の中間段階ミサイル迎撃実験を実施したことがあるのは世界で中国、米国、日本だけだ。宋氏は、「中間段階でのミサイル迎撃システム技術実験は中距離弾道ミサイル、さらには大陸間弾道ミサイルを念頭に置いている。今回の実験は中国が自国のミサイル防衛システムを構築するために行った通常の実験であり、中間段階でのミサイル迎撃システムが日増しに成熟していることを示すものでもある」と指摘した。
一方、宋氏は「米国は2019年8月に中距離核戦力(INF)全廃条約から横暴にも離脱したうえ、中国周辺に中距離さらには中長距離の弾道ミサイルを配備すると公言して、中国の国家安全保障を脅かした。従って、中国が中間段階でのミサイル迎撃システムの実験を実施したのは、安全を脅かす外部要因に対処するためでもある。同時に、中国が国と戦区のミサイル防衛システムを構築するのは、米国を含む他国からの長距離及び大陸間弾道ミサイルを有効に迎撃する能力を確保するためであり、中国はこのような国家の安全を守るための能力を有していると宣言するものでもあった」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年2月5日