小樽ベイシティ開発が運営する大型商業施設「ウイングベイ小樽」=小樽市築港
北海道小樽市の大型商業施設「ウイングベイ小樽」の運営会社が7日、札幌地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約280億円。商圏人口の減少などでテナントが減り、赤字が累積。今後、支援に名乗りを上げた中小企業再生ファンドの傘下で経営再建を進めていく。店舗などは通常通り営業を続ける。
JR小樽築港駅そばにあるウイングベイ小樽は、総合スーパー「イオン」や大手家具チェーンの「ニトリ」などを中核店舗に、映画館やホテルなど約100のテナントが入る。札幌ドーム約6個分の床面積を有する小樽最大の商業施設だ。
運営会社の小樽ベイシティ開発(OBC)は大手スーパー「ニチイ」(のちにマイカルに改称)などが出資し、1991年に設立。99年には小樽の副都心を目指して「マイカル小樽」を開業した。だが、01年にマイカル破綻(はたん)に伴い、民事再生法適用を申請した。
OBCはその後、マイカルの経営を引き継いだイオン北海道から銀行のOBC向け債権を引き受ける形で支援を受け、営業を続けてきた。しかし、近隣の人口減少や郊外型商業施設の増加で、テナントが流出して賃料収入が細り、イオン北海道への借金返済や小樽市への固定資産税の支払いが滞るようになっていた。
再建のスポンサーを探してきたOBCを今回、支援するのが中小企業再生ファンドのルネッサンスキャピタル(東京)だ。同法の適用を申請する前に、同ファンドがイオン北海道から債権188億円を買い取った。来年2月をメドに設立する新会社にOBCの従業員などを引き継ぎ、経営者も派遣し、迅速な経営再建にあたる方針だ。
小樽市内で会見したOBCの橋本茂樹社長は、体験型施設を誘致してテナントの「目玉」にする考えを示した上で、「ほかの郊外型商業施設とは差別化をはかり、札幌から客を呼び込めるようにして、再生していきたい」と話した。(鯨岡仁)
■雇用維持、地元…