無人ATMの前で利用者にチラシを配り、注意を呼びかける警察官ら=7日、大阪市北区、米田優人撮影
家族や警察官、自治体や金融機関の職員になりすまして電話をかけるなどして言葉巧みに一般市民からお金をだまし取る特殊詐欺。大阪府では被害額が5年連続で過去最悪を更新し続けているが、今年、統計を取り始めた2011年以降で初めて前年を下回る見通しとなった。東京都(61億円超)に次いで全国ワースト2位の52億円超だった昨年より大幅に減り、40億円を切る見込みだ。
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府警特殊詐欺対策室によると、今年11月末現在の被害額は約35億3千万円で前年同期比で約13億9千万円減。今年残り1カ月足らず。このまま推移すると、15年の約41億7千万円も下回る。一方、被害件数はほぼ横ばいの1504件だった。1件あたりの詐取額が比較的大きく、ウソの未納金やトラブル解決金を請求する「架空請求詐欺」が約12億5千万円減ったことが一因となっている。
かつて「大阪のおばちゃん」に代表されるしたたかさで、息子をかたるなどする「オレオレ詐欺」などは大阪で通用しにくいとされた。しかし手口の巧妙化が進み、その図式は崩れた。警察庁は11年、オレオレ詐欺や架空請求詐欺のほか、医療費や保険料の還付を装う「還付金詐欺」など特殊詐欺を8種類に定義した。これ以降の統計では、大阪府の被害額は右肩上がりで増え続けた。
全国の被害は14年の約565億5千万円をピークに2年連続で減少。近畿では昨年、兵庫県(約14億8千万円)や京都府(約7億4千万円)、滋賀県(約2億8千万円)、和歌山県(約1億9千万円)が前年より減り、奈良県(約5億4千万円)は前年より増えた。
その他の地域では、埼玉県(約22億8千万円)や千葉県(約25億4千万円)、広島県(約10億7千万円)、福岡県(約7億6千万円)で前年より減ったが、神奈川県(約46億3千万円)や愛知県(約34億4千万円)では増加している。
被害が減った地域がある一方、一部の大都市圏では増えており、捜査関係者は詐欺グループが、狙う地域を移行させている可能性があるとみている。
■「大阪でやったらあ…