大阪府豊中市服部豊町2丁目のアパートで5人が死亡した火災で、1階から出火した後、一気に燃え広がった可能性があることが、府警への取材でわかった。住人は「火の回りがとにかく早かった」と証言。府警は、一部の住人の避難が遅れたとみて調べている。
木造アパートで火災、5人が死亡 大阪・豊中
豊中南署によると、8日夜、木造2階建て(約400平方メートル)のアパート「みやび荘」が全焼。80代の女性が病院に搬送されて死亡したほか、9日昼までに焼け跡から4人の遺体が見つかった。いずれも高齢の住人とみられるという。
アパートには16人が住んでいて約10人が近くの市の施設に避難した。1階に住む女性(69)は8日午後7時20分ごろ、「火事です」と知らせる火災報知機のアナウンスを聞いた。2、3分後にドアを開けると、向かいの部屋から煙と炎が勢いよく噴き出すのを見たという。外では住人男性らがバケツで水をかけて「燃え移らせたらいかん」と消火活動をしていたが、火の勢いは衰えなかったという。「足腰の弱い人や不自由な人もいて避難できなかったはず。あまりに気の毒だ」と疲れた様子で話した。
別の部屋の50代男性は「すぐに煙が立ちこめ、慌てて避難した。他の人に声をかける余裕もなく、自分の避難で精いっぱいだった」。別の50代男性も「火の回りがとにかく早かった」と声を震わせた。
府警は9日午前から現場検証をして出火原因などを調べるとともに、遺体の身元の確認を進めている。(大部俊哉、長谷川健)