沖縄県は沖縄配備の全米軍機の飛行中止を求めているが、米軍普天間飛行場から米軍ヘリが飛び立った=14日午前11時5分、沖縄県宜野湾市、日吉健吾撮影
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の米軍ヘリが、普天間第二小学校の校庭に窓(重さ約7・7キロ)を落下させた事故で、翁長雄志(おながたけし)知事は14日に急きょ上京し、日米両政府に抗議する。県は沖縄配備の全米軍機の飛行中止を求めているが、この日も普天間や嘉手納基地(沖縄市など)から米軍機が飛び立った。
小学校への落下物、米軍ヘリの窓 授業中の男児1人けが
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翁長知事は14日午後、防衛省や在日米大使館などを訪問し、抗議する。政府も福田達夫防衛政務官を沖縄に派遣し、県や宜野湾市、米軍の関係者らと面会する予定だ。
普天間飛行場では14日午前、駐機場に事故機と同型のヘリCH53Eが6機並び、コックピット左の外れた窓の部分を銀色のカバーで覆った事故機もあった。午前10時半ごろ、米軍関係者が各機の操縦席横の扉などを点検したり、外された窓枠を再び取りつけたりする作業を続けていた。
県警の捜査員も基地内に入り、同型機の写真撮影などをした。米軍の協力を得ての調査で、こうした対応は異例という。
午前11時過ぎには、普天間から事故機とは別機種のヘリが飛び立ち、普天間二小付近の上空を通過。その後も離陸が続いた。嘉手納基地でも一時派遣されているステルス戦闘機F35Aなどが離陸する姿が見えた。県は13日、日米両政府に在沖米軍の全航空機の点検と、その間の全機の飛行中止を求めたが、顧みられなかった。
普天間第二小では午前7時半ごろ、児童たちが通常通り登校し、保護者十数人が交通整理をしながら見守った。校門をくぐった児童たちは「おはようございます」とあいさつしながら校舎に入っていった。学校によると、当面は体育の授業で校庭は使わず、休み時間も児童に使わせないという。
近くの幼稚園に6歳の娘を送りに来た与儀明日香さん(29)は普天間二小の卒業生。娘も来春から同校に通う。「人に当たっていたら確実に死んでいた。心配は心配だけど、米軍に言ってもどうせ変わらない。基地とうまくつきあっていくしかないが、事故は起こさないで欲しい。それは大前提です」と話した。
事故は13日午前10時過ぎに発生。普天間飛行場を離陸したCH53Eから窓が枠ごと外れ、飛行場に隣接する普天間第二小の校庭に落下した。当時、2年生と4年生の児童約60人が体育の授業中で、落下の衝撃ではねた小石のようなものが4年生男児の左腕に当たったが、けがはなかったという。(小山謙太郎)