「犬の王」と紹介された伊奴神社の犬の像=名古屋市西区
来年の「戌(いぬ)年」を前に、名古屋市西区の住宅街にある伊奴(いぬ)神社が初詣の準備に追われている。戌年に参拝客が押し寄せるため、今年の10倍となる10万個のお守りを用意した。アルバイトの巫女(みこ)も例年の約2倍に増やし、警備員も雇うという。
伊奴(いぬ)神社は673年創建とされ、安産や子授けの神様としてまつられている「伊奴姫(いぬひめの)神(かみ)」が名前の由来となっている。境内には、こま犬以外にも「犬の王」と紹介される犬の石像や、犬の大絵馬が収納された絵馬殿などがある。
宮司の稲岡末敏さん(67)によると、前回2006年の戌年は、三が日に前年の約3倍となる約8万人が参拝した。「干支(えと)ブームもあり、予想以上の人出。うれしい悲鳴だった」と稲岡さんは振り返る。
今回の戌年に備え、今月15日に「戌」にちなんだ畳2枚分の絵馬を置いた。06年から干支に合わせて、毎年設置する恒例の行事だ。氏子総代ら約40人では三が日の警備の人手が足りず、初めて警備員を雇う。愛知県警と連携し、大みそかの夜や三が日の一部時間帯は神社周辺で一般車両の通行を禁止する。
稲岡さんの長男で禰宜(ねぎ)の正紘さん(28)は、初めて戌年の準備を担っている。「こんなに大変だとは。でも、参拝される方が幸せになってもらうのが一番です。お気をつけてお越しください」と話し、公共交通機関の利用を呼びかけている。