商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社（兵庫県西宮市）で、毎年１月１０日に催される神事「福男選び」。午前６時の開門と同時に一斉に境内になだれ込み、参拝一番乗りの「一番福」を目指して疾走する。人気は過熱し、参加者はこの４年間は毎年５千人。その魅力を探った。

時間をめぐる物語「時紀行」

（時紀行：時の余話）支えられた感謝忘れぬ 疾走の魅力、手作り発信

時紀行

１１月上旬の早朝、兵庫県西宮市の西宮神社の表大門に、スポーツウェア姿の男性が立った。この「赤門」から全速力で本殿まで約２３０メートルを駆ける。息を整えながら門に戻り、また駆け出す。

男性は元球児で西宮市の介護施設職員、大迫純司郎さん（３７）。来年１月１０日の開門神事「福男選び」での一番福を目指し、参拝客が少ない時間帯に練習している。

２０年前、大阪代表・履正社の右翼手で夏の甲子園に出た。プロを志し、大学でも野球を続けた。大学卒業直前の２００３年から福男選びに挑み、０５年に三番福、０９年は二番福に。プロ野球には進めなかったが、一番福は「あきらめない」。これまでの経験から「２７秒」で走れば一番福になれる。

赤門を飛び出して右カーブを過…