供用開始を前に報道陣に公開された世田谷代田駅の緩行線ホーム
小田急電鉄が進めている代々木上原(渋谷区)―梅ケ丘(世田谷区)間の複々線化工事で、主に各駅停車の列車が通る緩行線の地下トンネルがほぼ完成した。来年3月3日始発からの供用開始に向け、年明けから検査や最終調整に入る。通勤ラッシュの混雑緩和を目指した輸送力増強は30年近い歳月を費やして完成。同17日からのダイヤ改定で都心部への列車が大幅に増発される。
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今月21日に報道陣に公開されたのは、新たに建設された緩行線トンネルのうち約650メートルと、いずれも地下1階にホームが新設された下北沢駅(深さ約11メートル)、世田谷代田駅(約17メートル)。現場では、年明けに予定される関東運輸局の検査や、3月の列車の運行開始に向けた確認作業が進んでいた。
代々木上原―梅ケ丘間は主に特急や急行などが通る急行線のトンネルが2013年3月に先行開業していた。来年3月の緩行線トンネルの供用開始で、小田急が1989年から進めていた代々木上原―登戸間の複々線化が完成する。
ダイヤ改定後は、平日朝のラッシュ時に新宿駅や東京メトロ千代田線方面に向かう上り列車が大幅に増える。同社によると、午前8時前後の1時間に下北沢駅に到着する列車は現在の27本から36本に増え、世田谷代田―下北沢間の混雑率は192%から150%程度まで緩和すると見込む。
2層式になる下北沢駅は、停車する列車の種別や行き先で上下のホームが分かれる。3月3日の始発から同16日まで、地下1階の新ホーム上り線には各駅停車のみが停車。同17日の始発以降は、千代田線に直通する急行から通勤準急までと、新宿行きを含むすべての各駅停車が止まる。地下2階にある現ホーム上り線は新宿行きの通勤急行以上が止まるようになる。
小田急は「代々木上原駅手前での列車同士の混雑を避けるための運用で、『千代田線方面は上、新宿方面は下』と大まかに覚えていただければ」と説明している。(吉野太一郎)