大阪府警が押収したクレーン型ゲーム=23日午後6時37分、大阪市中央区の南署
クレーン型ゲームで景品が取れないように設定して客から料金をだまし取ったとして、大阪府警は23日、大阪・ミナミや京都市でゲームセンターを運営する「アミューズメントトラスト」社長の大平(おおだいら)剛史容疑者(33)=大阪市住吉区沢之町2丁目=と従業員ら男女6人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。府警によると、クレーン型ゲームによる詐欺容疑での逮捕は全国初という。
府警はこの日、五つの店舗などを捜索した。保安課によると大平容疑者らは今月上旬、ミナミの2店舗でクレーン型ゲームを景品が取れないようにした上で、「絶対に取れる。今やめたらもったいない」などと女性客4人に言って計約47万円を詐取した疑いがある。一部の従業員は「社長に手口を教わった」と容疑を認めているが、大平容疑者は「指示したことはない」と否認しているという。
景品は高価なゲーム機やタブレット端末などで、料金は1回500円~1万円。従業員が景品を取る実演をした後、設定を変えていた。府警には2015年以降、「景品がまったく取れない」との相談が30件ほどあり、被害額は計約600万円とみられるという。
大平容疑者が経営する店をめぐっては、インターネット上で「ぼったくりゲーセン」などと話題になっていた。「景品を取れずに18万円取られた」「店員がデモンストレーションで簡単に成功できるように見せ、客が操作するとまったく成功できない」などの書き込みがあった。大阪の店でゲームをしたことがある男性会社員(30)は「絶対取れると店員に言われたが、ぬいぐるみをつかんでも全然取れなかった。1万5千円を使った」と話した。
50代の会社員男性は別の店舗の前で、「このゲーム機はよく取れますよ」と若い店員にしつこく声をかけられたことがある。後日、会社の同僚から「4万円を使わされて何も取れなかった」と聞いたという。