きょうだいと遊ぶ吉田真翔君(中央)=大阪市中央区、寺尾佳恵撮影
「アラジール症候群」という遺伝子の変異による指定難病がある。厚労省の研究班の調査によると、国内の患者は推定200~300人。その患者や家族でつくる団体が設立されて今年、10年がたった。病気のことを知ってもらい、暮らしやすい環境を整えようと、SNSも利用して理解の輪を広げようとしている。
大阪市に住む吉田麻里さん(39)と幸司さん(38)夫妻の三男、真翔(まなと)君(13)は生後2カ月のころ、鼻血や採血後の血が止まらなくなり、入院した。2カ月後、アラジール症候群と診断された。
病名がわかって安堵(あんど)した一方、肝臓の状態が悪く、「移植をしなければ10歳まで生きるのは厳しい」と宣告された。心臓も弱く、肝臓、心臓、肺の移植が必要で日本では治療できないことが判明。夫妻は「移植しても100%治るか分からないなら、成長と共によくなることを願おう」と様子を見守ることに決めた。
「日本アラジール症候群の会」を立ち上げたのは真翔君が3歳になった2007年10月。診断当時、ネットや医学書を見ても病気の詳細や治療方法の情報が分かりづらかった経験から「同じ病気の人や家族の不安、悩みを少しでも軽くできれば」と、ホームページを立ち上げた。真翔君との日常をつづり、チラシを作って全国の病院に配る活動も始めた。
真翔君は肝臓で胆汁を吸収でき…