12月の記者会見で話す塩尻和也。走っていない時はおっとりしている
今回の箱根駅伝でただ一人のオリンピアン(五輪選手)は、順大の塩尻和也(3年=群馬・伊勢崎清明高)だ。エースが集まる花の2区で力走したが、その走りとは裏腹に、素顔は超インドア派だった。
箱根駅伝2018
「自分が走っている写真なんかを見ても、ちょっと自分には見えないんですよね」。塩尻は12月、おだやかにそう話してくれた。スピードランナーの姿からは想像がつかないほど、おっとりとした口調だ。
練習の時以外は部屋からほぼ出ず
練習の時以外は、寮の部屋から、ほぼ出ないという。「活動的ではないですね。部屋でゲームをしたり」。今季、台北で行われたユニバーシアードに同行した神奈川大の大後栄治監督も「これがあの塩尻か? 女の子っぽい感じで、ちょっと不思議ちゃんです」と驚いた。
走ると「スイッチが入ります」
ただし、「走っている時だけは違いますね」と塩尻は言う。「昔から走り始めるとスイッチが入ります」。3000メートル障害で2016年リオ五輪に出場。昨年11月に記録した1万メートル27分47秒87は、日本人学生歴代4位の快記録。今大会を走る誰よりも速い。
2区で最大のライバルと見ていたのは、神奈川大の鈴木健吾(4年=愛媛・宇和島東高)だ。前回大会で2区区間賞の1学年上の先輩に対しても、「勝てる自信があると言えるほどではないですが、あまり負ける感じもしていないです」。ゆったりとした口調にのぞかせた自信を胸に、懸命に背中を追いかけたが、届かなかった。(平井隆介)