避難訓練で電動車いすを引っ張ってもらう梅田洋さん=12月10日、大分県別府市
災害に備え、要支援者の避難方法をあらかじめ決めておく個別計画づくりが遅れている。全国の都道府県が把握する市区町村の策定率(2016年4月~17年11月)を朝日新聞がまとめたところ、要支援者約714万人に対し、計画があるのは約9・3%の約67万人だった。背景には高齢化や人間関係の希薄化などで協力する人が見つからない実情があるとみられる。
国は市区町村に要支援者の個別計画策定を求めている。都道府県別の策定率は最も高かったのが新潟県の33・2%(16年4月時点)で、最少は沖縄県の0・3%(同)だった。策定が進まない理由について、25都府県が手助けする人の不足を挙げた。策定率18・5%(同)の熊本県の担当者は「支援の中心となる民生委員が地域の高齢化で不足している」と話した。
国の指針は1人の支援者に負担が集中しないよう求めているが、兵庫や長野、埼玉、高知、熊本、福岡など7県では、複数の高齢者らを支える計画もあった。栃木県の担当者は「1人で10人程度を助けるケースもあると聞いている」と明かした。
同志社大の立木茂雄教授(福祉防災学)は「民生委員1人が何人も助けるような計画は実効性がない。要支援者の名簿を地域に渡すだけでなく、社会福祉協議会の専門職『コミュニティソーシャルワーカー』など地域と要支援者の間をつなぐ役割の人を置き、きめ細かく配慮することが必要」と指摘する。
■地域ぐるみ 住…