最高裁判事に就任し、会見する宮崎裕子氏=9日午後、東京都千代田区、長島一浩撮影
9日付で最高裁長官に就任した大谷直人氏(65)と、最高裁判事に就任した前東京高裁長官の深山卓也氏(63)、弁護士の宮崎裕子氏(66)が9日、会見を開き、それぞれ抱負を語った。
最高裁判事で初の旧姓使用へ 来月就任の宮崎氏「当然」
大谷氏は「国民から身近な存在として、信頼される裁判所の実現に全力を傾けたい」と述べた。国際的な紛争に対応するため、研修や人的交流を充実させることや、来年で10年目を迎える裁判員制度の検証を進める考えも示した。
大谷氏の後任の深山氏は法務省勤務が長く、「法律を見る視点が豊富になった。法律を作る側の経験を生かしたい」と述べた。
9日付で就任した弁護士出身の宮崎裕子氏(66)は最高裁判事で初めて旧姓を使用する。女性の最高裁判事は6人目。就任会見で「弁護士として使ってきた名前を、判事としても使い続けるのは当然。価値観は多様化しており、可能な限り、選択肢を用意することが大切だ」と語った。
父も裁判官で「資格がなければ、女性は就職しづらい」と高校生のころから裁判官を志した。東大を卒業した1976年に司法試験に合格。司法修習時代に現在の夫と出会い、結婚することを決めた。
裁判官は転勤が多いため「別居したくない」と、弁護士へ進路を変更。旧姓で弁護士登録をしてから、婚姻を届け出た。大学生のころに聞いた女性の先輩の苦労話が理由だ。「旧姓で書いた論文が結婚後、(改姓したら)自分の研究成果と評価されず、研究機関に採用されなかった」。旧姓を使い続けることはその時から決めていた。
だが、法律上と職業上の姓が違うため、海外のホテルで宿泊を拒まれた経験もある。「男女の肉体的な違いは認めるべきだが、違いがない部分では公平に働ける環境作りが重要。抜本的に変わってほしい」。最高裁の裁判官15人のうち女性は3人。「法曹人口に占める女性の割合はもっと多いはず。最高裁の女性判事の割合も上げていく方がいい」と話した。
同じ弁護士出身で1日付で定年を迎えた木内道祥氏(70)の後任。日本弁護士連合会が最高裁に推薦した9人のうちの1人だった。(岡本玄)