純正にこだわる人が多いクラシックカーのパーツを惜しげもなくどんどん取り換えたり、エンジンこそ最大の特徴だと思われるマツダのロータリーエンジン(RE)車のエンジンを載せ替えたり。カスタムの楽しみ方はファンの数だけある。千葉・幕張メッセで12日から開かれているカスタムカーの祭典「東京オートサロン」で、その様子を垣間見ることができた。
特集:飽くなき挑戦 ロータリーエンジンの半世紀
RE車チューニングの老舗ショップ「RE雨宮」(千葉県富里市)は、マツダが初めてREを積んだ「コスモスポーツ」に、現時点で最後のRE搭載車「RX―8」のパーツなどを組み合わせたロータリーエンジンを載せた。雨宮勇美代表はその狙いを「壊れにくいから」と説明する。
マツダが長く生産を続け、「RX―7」などにも搭載された2ローターの「13B型」は、初期のREに比べて耐久性に優れる。トラブルを避けて長く乗りたいというファンの要望に応えた。1967~72年に生産されたコスモスポーツの純正パーツはいまや希少で価格が高いこともあり、ステアリングは初代ロードスターのもので代用。バンパーやシート、テールランプもリビルド品に換えた。雨宮代表は「純正にこだわる人たちからは評判は悪いんだけどね」と謙遜するが、違和感も少なく需要はありそうだ。
一方、RX―8にあえてトヨタ製の直列6気筒レシプロエンジンを載せたのは、「ガレージYAMAGUTI」(千葉県香取市)制作のデモカー。「『RE車のデザインは好きだけど、エンジンすぐ壊れるんでしょ』と聞くお客さんは多い。それならいっそのこと、と載せ替えた」と山口潔代表。
ただ、コンパクトなREでしか実現できない低重心のデザインがRX―8の特徴。大きなエンジン搭載を想定していないエンジンルームに押し込むのは大変だった。ボディー内部は「切って、たたいて」大改修。ホース類もほとんど作り直したという。まだほとんど走らせていないというが、RX―8の良さを残しつつ新しい魅力も付加されているのかどうか、ぜひ乗って試したい一台だった。(神沢和敬)