バルセロナのピケ=AP
サッカーのスペイン1部リーグの強豪バルセロナのDFジェラール・ピケが1日、生まれ故郷であるカタルーニャ州の独立の是非を問う住民投票に伴い、治安部隊と市民が衝突して多数の負傷者が出たのを憂え、「もし、監督やスペインサッカー協会の誰かにとって私の存在が問題か、もしくは迷惑なら代表チームを去る」と語った。1日、本拠でのラスパルマスとの無観客試合で勝利した後、涙ながらに覚悟を口にしたと地元メディアなどが報じた。
バルサ、無観客試合に カタルーニャ住民投票で衝突懸念
カタルーニャ独立派が勝利宣言 政府、対話の余地は残す
スペイン代表の守備の柱として、10年ワールドカップ初優勝、12年欧州選手権優勝に貢献したピケは独立賛成派の立場を公言してきた。「市民は暴力に訴えずに抗議した。平和的な方法で住民投票を阻止するのかと思った。しかし、誰もが何が起こったのかを目撃した。これはこの半世紀で最悪の判断だった」と、無抵抗の市民に対し、治安部隊を出動させて制圧を試みた中央政府を非難した。州政府によると混乱で手当てを受けた市民は800人以上だという。即日開票で約9割(2日未明時点)が独立への賛成票だが、今回の住民投票は、根拠となる州法が憲法裁判所の判断で効力を停止されている。
バルセロナの本拠カンプノウは、独裁者フランコの圧政下で地域言語カタルーニャ語が禁じられたときに、唯一、公共の場で堂々と地元言語を叫ぶことができたとされ、クラブは地域のシンボル的な存在だ。
首都を本拠とするレアル・マドリードとの激突は、バルセロナのメッシ、レアルのクリスティアノ・ロナルドという当世2大スターの競演もあり、世界が注目する「クラシコ」として名高い。1日、レアルは本拠でエスパニョールと対戦、観客席ではカタルーニャの独立に異を唱え、国家としての団結をアピールするためにスペイン国旗が多数掲げられた。(ロンドン=稲垣康介)