アピアランスケアの研修会。看護師や薬剤師らが参加し、様々な対処方法を体験した(東京都中央区、野澤桂子さん提供)
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がんの治療によって現れる見た目の変化に対応する「アピアランスケア」を広めてきた野澤桂子さん(57)。外見は心とつながっていると言います。がん患者の外見をケアすることへの思いを伺いました。
特集「がんとともに」
ニーズ高まるアピアランスケア
がんの治療を始めると、薬の副作用による脱毛、肌や爪の変色などが現れ、人との交流を断ってしまう患者がいます。「アピアランスケア」の患者教室では、治療プロセスに合ったウィッグの選び方や身近な物でできる帽子の作り方、元気に見えやすいメイク、周囲とのコミュニケーション方法のポイントなどを紹介します。長く生きるがん患者が増え、入院日数が短くなって通院して治療する患者も増えたことなどを背景に、こうした外見のケアは、ますます重要だと考えられるようになってきました。
のざわ・けいこ
1960年、静岡市生まれ。臨床心理士。山野美容芸術短期大学教授などを経て、2003年から国立がん研究センター中央病院(東京)で、患者の外見のケアや社会復帰などを支援する。13年から同病院アピアランス支援センター長。
国立がん研究センターで、正式なプログラムとしてアピアランスケアを始めた2007年ごろ。「かつらサービスのこと?」とよく誤解されました。アピアランスケアの目的は、単に外見を整えることではありません。
外見の問題は、実は社会との接点の悩みなのです。自分は魅力的でなくなったのでは? 他人からの評価が下がるのでは? 病気になったことで、社会との関係が変化すると思うから不安になります。逆に言うと、相手から肯定的な反応があると不安は消えるのです。
■患者と社会を…