米司法省は9日、同省ナンバー3のレイチェル・ブランド司法次官が数週間後に辞任すると発表した。トランプ大統領がロシア疑惑捜査を担当する司法副長官の更迭を示唆しており、ブランド氏が担当を引き継ぐ可能性が取りざたされていた。トランプ氏が司法当局への批判を強める中での異例の辞任となる。
司法省は声明でブランド氏の功績を称賛。「自身の成し遂げたことを誇りに思う」とするブランド氏の発言を盛り込んだ。ただ、辞任に至る経緯は明示されなかった。
ブランド氏はトランプ氏に指名され、2017年5月に司法次官に就任した。オバマ前政権やブッシュ元政権でも要職を務めていた。司法次官を退任後は、民間への転職が決まっているという。
ロシア疑惑を巡っては、セッションズ司法長官が自身のロシア側との接触が問題になり、昨年3月に捜査に関与しないことを表明。ナンバー2のローゼンスタイン司法副長官がマラー特別検察官を任命した。ローゼンスタイン氏が捜査に関する報告を受けるほか、マラー氏を解任する権限を持つ。
しかし、トランプ氏はローゼンスタイン氏の捜査姿勢に不満を持ち、更迭を検討しているとされる。ローゼンスタイン氏が解任された場合は、特別検察官に関する権限がブランド氏に移るため、その去就が注目されていた。
トランプ氏はブランド氏の後任に自らに近い人物を就任させた上で、ローゼンスタイン氏を解任する可能性がある。その場合、捜査介入との批判が高まりそうだ。
トランプ氏は疑惑捜査を巡って、捜査当局が偏向していると印象付ける動きを強めている。トランプ氏は9日、民主党が機密文書に基づいて作成し、米連邦捜査局(FBI)の捜査手法を擁護した極秘メモの公表を認めないことを決定。2日には、共和党側が同じ機密文書に基づいてFBIの捜査手法を批判した極秘メモの公表を積極的に承認し、「多くの人間が恥を知るべきだ」などとしていた。(ワシントン=杉山正)