トランプ米大統領は23日、ターンブル豪首相との会談後の記者会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)について「復帰する可能性はあるが、(他の参加国が)相当良い条件を提案することになる」との考えを示した。
トランプ氏は「私は多国間協定より二国間のほうがずっと好きだ」としたうえで、「TPPは米国にとってとてもひどい協定だった」と強調。TPPに復帰するためには、再交渉が必要との考えを示した。日本や豪州は来月、米国抜きのTPPの署名式をチリで開く予定で、日本は再交渉には反対の立場だ。
また、トランプ氏は最大の貿易赤字相手国である中国について「通商で長い間我々を苦しめてきた以外は、すばらしい関係を築いてきた。彼らはますます強くなっている」と指摘。「とても面白い時期になるだろう。私は習近平(シーチンピン)国家主席をとても尊敬しているが、我々は貿易不均衡を取り除く必要がある」と話した。トランプ政権は中国を念頭に、鉄鋼や知的財産分野で強硬な制裁措置を検討しており、近く判断するとみられている。
一方、ターンブル氏は、豪州は米国に対して貿易赤字を抱えるものの、両国の自由貿易協定(FTA)の発効後に取引が5割増え、「両国にいいことだ」と指摘。会談では、エネルギーや質の高いインフラ投資、デジタル貿易などで協力することで一致したことを明らかにした。(ワシントン=五十嵐大介)